最近は朝起きて窓を開けると、梅の香りを孕んだ空気が入ってきて、何かそれだけで幸福な気分になる。写真は先週末に訪れた大井川中流域の家山梅園。小高い丘の南斜面にある別天地のような場所です。

何回かにわたって大学入試について書いてきたが、元々のきっかけは「東洋経済」誌の｢古文･漢文不要論争｣についての記事だった。高校で古文や漢文を学ぶ意味は果たしてあるのだろうか？記事はこの問いをめぐって、明星大学の勝又基氏へのインタビューをもとに…

Kindleで『抵抗経験と実在性』という本（哲学の論文）を出しました。実在論と観念論の対立という、デカルト以来の西洋哲学の問題に取り組んだものです。カントの『純粋理性批判』に「観念論論駁」（Widerlegung des Idealismus）という有名な一節があります…

かれこれ10年も前になるが、小林秀雄の「鐔」 というエッセイが、センター試験に出題されたことがあった。ネット上では「並みの書き手ではない」と褒める人がいる一方で、「感情の赴くままに書かれている」、「非論理的で主観的」、「こんなもの出題するな」…

花びらがみな心をあわせて風のなかの幾歩かの目にみえないかぐわしいあしぶみを踏む（リルケ詩集『薔薇』より。山崎栄治訳）

前回の記事で「文学テクストの意味は読み手の自由な解釈によって生み出されるものだ」とか「テクストの意味は読者の数だけある」などといった文学観が、文学についての偏見や悪しき先入観を生んだと書いた。このことについてもう少し書いてみたい気がするけ…