断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

2016-01-01から1年間の記事一覧

新・文学部の未来

以前に「文学部の未来」という題で記事を書いた。タイトル通り文学部の「未来」について記したものである。数年前の記事であるにもかかわらず、結構読まれているなと思っていたら、先日、「このブログでよく読まれている記事」のトップにランクされていた。 …

年度内授業終了

金曜日は祝日だったが、今年最後の東海大学の授業日。授業前、久々にキャンパスの裏にある三保の松原へと続く海岸へ出た。前日の雨のせいで、海は台風の後のように濁っていたが、風は暖かくさわやかだった。 授業後は静岡の街へ出て、前々から行こうと思って…

俳句、音楽、そしてフライブルクへ

今年も残すところわずかとなった。一年間はあっという間のようでもあり、またおそろしく長かったような気もする。 落ち込みがちなときもあったりして、気晴らしに旅行にでも出たい気分だが、年の瀬でなかなかそうも行かない。それでも10日ほど前、静岡にある…

8月13日(グリンデルヴァルト~インターラーケン)

朝のシャワーを浴び、ベッドの前で荷物を整理していると、同じ部屋の女性から「おはようございます」と日本語で声をかけられた。びっくりして訊き返すと、彼女はローザンヌ出身で、昨年、四国へ旅行に来ていたのだという。スイス人ながらインターラーケンは…

近況と雑感

最近はちょっと疲れているので、折にふれて書き留めてあった短いメモ風のものを並べるという形式で。 ※ 職場の同僚のIさんと話していて、世代間ギャップの話が出た。私自身はそうしたギャップをあまり感じないのだが、それは私が「若い」からではなく、そも…

8月12日(ヴェンゲン~グリンデルヴァルト)

夏のヨーロッパ旅行の記事は、元々備忘録を兼ねてはじめたもので、九月中には書き上げるつもりだったが、予想以上に長引いてしまっている。スイスを去ってドイツのフライブルクへ行くまであと二日。今回は多少駆け足でメモ風に済ませよう。 午前8時にヴェン…

秋の瀬戸川

瀬戸川は大井川のやや東、山一つ隔てたところを流れている。上流には宇(うと)嶺(うげ)の滝という名瀑があるが、ここは林道が通行止めになることが多い。流域面積のせいか水はさほど多くなく、中流を過ぎるとしばしば涸れ川となる。下流では朝比奈川を併せ、…

学園祭の思い出

一週間の仕事が終わった。そろそろ学園祭のシーズンだが、私の勤めている東海大学も来週は「海洋祭」があって、授業はほぼ全休である。私自身、少しへばっていたところなので、このタイミングでの中休みはうれしい。 さて学園祭の思い出話である。学生時代、…

8月11日(インターラーケン~ヴェンゲン)

朝食をとりに食堂へ降りてゆくと、窓から淡紅色に染まったユングフラウが見えた。ホテルの人に訊いて天気予報を確かめると、今日は一日晴天とのこと。ホテルを出てヴィルダースヴィール駅へ行く。 駅に着くと、一つしかないカウンターをグループ客が占拠して…

8月10日(インターラーケン)

朝から曇り空がひろがる。ホテルのフロントで訊くと、一日中、雨が降ったり止んだりという天気らしい。 インターラーケンへ来たからには、ユングフラウヨッホへの登山列車に乗りたいが、そのタイミングが難しい。地区乗り放題のチケットを買ったが、山頂のユ…

8月9日(ミラノ~インターラーケン)

午前4時に起床。シャワー、そして読書。8時半前のジュネーヴ行きのECに乗り、国境の町ブリークをめざす。睡眠不足で眠い。うつらうつらしていると、車掌が検札に来て起こされた。窓の外に湖が見える。イタリア北部の湖水地方の一角を占めるマジョーレ湖であ…

新学期本格化

昨日から藝大も始まった。心配していた台風もほとんど影響はなく、帰宅時に多少雨風が吹いたくらいだった。授業のほうは、中級は初回ということでいきなりガンガン進めることはなかったが、初級は時間数の関係もあって、通常通りの授業をやった。休み明け早…

授業再開

また新学期が始まった。久しぶりに三保のキャンパスへ行き、見晴らしのいい校舎から駿河湾を眺めた。昨日で第一週目が終わり、とりあえず一段落ついた感じである。(藝大のほうは授業開始が遅く、まだ始まっていない。) 長い休みのあとに授業が始まると、生…

8月8日(フィレンツェ~ミラノ)

フィレンツェは今日で最終日。明日はスイスへ行くので、今日中にミラノまで移動してしまう予定である。 午前中、これまで訪問を先延ばしにしていたアカデミア美術館を訪れたが、なんと休館。月曜日なのをうっかりしていた。フィレンツェ観光の必見ポイントと…

8月7日②(フィレンツェ)

ウフィツィ美術館で驚いたのは、多くの人がひたすら写真撮影に没頭していたことである。名画をカメラで撮ること自体が悪いというのではない。問題はその撮り方である。ファインダー越しに絵とにらめっこし、シャッターを押す。そして自分の目では一切絵を見…

8月7日①(フィレンツェ)

ホテルで朝食後、ウフィツィ美術館へ。フィレンツェカード(フィレンツェのさまざまな施設に入ることのできる割引カード)を持っていたので、並ばずにすぐ入館できた。丸々午前中をかけて鑑賞。その後、外へ出て昼食のサンドイッチをほおばった。 前々回の記…

写真その3

これも自転車でよく行く橋からの眺め。以前にブログの記事でも紹介した。 http://blog.goo.ne.jp/wlfgpt376/e/f2273ec9c56da4bd1d5418f15074b049 http://blog.goo.ne.jp/wlfgpt376/e/1ced7cdc487eecc7ae5e04f8c4a0b2d9

写真その2

ヨーロッパへ行く前に泳いだ近所の川の風景。

写真その1

自転車でよく行く散歩道の風景。

デジカメ購入

ここ数年はカメラなしで旅行していたが、今回、イタリアとスイスを回るというので、久々でデジカメを手に入れた。期間中に撮影した写真は400枚超。ただし一つの風景につき、露出や構図などを変えて何枚も撮っているから、実質的には100枚程度である。観光に…

8月6日(ミラノ~フィレンツェ)

早朝にホテルを出発。イタリアでの主な観光先はフィレンツェなので、なるべく早く向うへ着いて一日をフル活用する目算である。 駅へ着き、自販機で列車を検索すると、8時35分のフィレンツェ行きの特急があった。値段は68ユーロ。すぐに買おうと思ったが、念…

8月5日(成田からミラノへ)

昼前に成田空港に到着。チェックインをすませ、搭乗口に入ろうとすると、「ペットボトルは持ち込み禁止です」と言われた。捨てるかこの場で飲むかしてくれという。買ったばかりなので捨てるのはもったいない。仕方ないので通路脇に座って飲み始めると、係員…

ミラノから成田へ

九月二日に無事帰国した。八月は丸々ヨーロッパ過ごしだった。さすがに向うでブログ記事を書く余裕はなかったが、メモと記憶を頼りに「日記」形式で旅行中の日々を振りかえってみよう。しかしその前に(順序は前後するが)日本帰国後の印象を記してみたい。 …

リア充よりもリア忙

明日、ドイツへ向けて出発する。静岡は今日中に出てしまう。イタリアからスイス経由でドイツに入り、フライブルクに滞在する。帰国は9月の初めである。 先日、街を歩いていたら、隣の小学生が仲間に向かって「今日はリア充だったね!」と話しかけていた。世…

モーツァルトの初・中期交響曲

ここでモーツァルトの初・中期交響曲と呼んだのは、ウィーン時代より前に作曲された三十数曲であり、作曲年代からいうと8歳から24歳までわたるものである。この中には、小ト短調シンフォニーとして知られる有名な25番(K.183)や演奏されることの多い29番(K…

近況―2016年7月

夏に一か月ほど日本を離れることになった。主な滞在先はフライブルク。前回ドイツに行ったのが震災の前年だったので、ほぼ六年ぶりである。最近は気持ちが落ちこみがちだったので、気分転換になればと思っている。 旅の準備にいそしんでいた矢先、ブックオフ…

俳句近作(2016年5月)

土黒く張りはじめたる睦月かな 野仏のぬくみきらぬや二月尽 しづかさや梅花のにじむ寺の土 鳥曇り信濃の川もはてしなき 春夕焼雲いぶし銀のごときなり 草の芽の匂いする夜や山泊り 百千鳥こゑに水あり光あり 繚乱の花めぐりせりめをと蝶 春愁や猫もとろりと…

春のニッポン

新学期が始まった。何か月ぶりかで上野公園を歩き、盛りの桜の花を見ながら散歩した。大勢の花見客が行き交うのは例年通りだが、今年はそれにまじって外国人の観光客が目立った。実況中継をしている外国のテレビ局も見かけて、ちょっとびっくりした。 静岡の…

私の好きな小説8(立原道造「長崎ノート」)

「私の好きな小説」としたが、この表題は二重の意味で不正確である。 第一にこの「ノート」は「小説」ではない。詩人立原道造が、自己の新しい境地を求めて長崎へ旅した折に記した、日記形式の覚書である。 第二にこれは、「好きな」というよりは「好きだっ…

俳句近作(2016年2月)

久々の記事投稿になってしまった。この間、冬学期の期末試験も終わり、何度かまとまった記事を書こうともしたのだが、研究にかまけている内に、ブログのほうはサボってしまった。リハビリを兼ねて、俳句の近作からアップすることにしよう。 冬ざれの山陰照ら…