断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

8月7日①(フィレンツェ)

 ホテルで朝食後、ウフィツィ美術館へ。フィレンツェカード(フィレンツェのさまざまな施設に入ることのできる割引カード)を持っていたので、並ばずにすぐ入館できた。丸々午前中をかけて鑑賞。その後、外へ出て昼食のサンドイッチをほおばった。
 前々回の記事で、フィレンツェ観光はトラブルの連続だったと書いた。私自身のドジやヘマもあったのだが、もちろんそれだけではない。たとえばこんなことがあった。ピッティ宮殿に隣接したボーボリ庭園という広大な庭園がある。宮殿内を見物した後、そこへ入ろうとしてフィレンツェカードを見せた。すると「宮殿内の書店で機械処理をしてくれ」と言う。命ぜられるがままに書店へ赴くと、「今日は手続きをやっていない。」ここへ来いと言われたのだと食い下がったが、らちが明かなかった。翌日、庭園に直接入れる別の入口へ行くと、「宮殿の入り口で機械処理をしてくれ。」うだるような暑さの中を宮殿まで戻り、ようやく手続きをして庭園に入った。
 旅先でのトラブルは不愉快この上ないが、帰国後に話のネタになるというメリットもある。以前、中学生相手に家庭教師をやっていて、その最終回に母親から「いつも冒険談をありがとうございました。息子は毎回楽しみにしていたんですよ。」などと挨拶された。大学の授業のアンケートで「インドの話がめちゃくちゃ面白かったです。」と書かれたこともある。これなどは「お前のドイツ語の授業はつまらないぞ」という遠回しの皮肉と取れなくもないが、和気あいあいとした少人数クラスだったので、多分そうではないだろう(と思いたい)。
 フィレンツェではこのほかにも、バスの切符売り場で逆ギレされたり、手荷物を預けるのに1500円以上も取られたり、ツーリスト・インフォーメーションで偽の情報をつかまされたり、またそれとは反対に、行きずりのおばさんの親切に感激したりと、とにかく色々あったのだが、それらの話の詳細は、ここでは割愛させていただく。