断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

家山梅園へ行ってきた

最近は朝起きて窓を開けると、梅の香りを孕んだ空気が入ってきて、何かそれだけで幸福な気分になる。写真は先週末に訪れた大井川中流域の家山梅園。小高い丘の南斜面にある別天地のような場所です。

古典教育は必要か? 

何回かにわたって大学入試について書いてきたが、元々のきっかけは「東洋経済」誌の「古文・漢文不要論争」についての記事だった。高校で古文や漢文を学ぶ意味は果たしてあるのだろうか?記事はこの問いをめぐって、明星大学の勝又基氏へのインタビューをもとに…

抵抗経験と実在性

Kindleで『抵抗経験と実在性』という本(哲学の論文)を出しました。実在論と観念論の対立という、デカルト以来の西洋哲学の問題に取り組んだものです。カントの『純粋理性批判』に「観念論論駁」(Widerlegung des Idealismus)という有名な一節があります…

入試シーズンに思うこと(3)

かれこれ10年も前になるが、小林秀雄の「鐔」 というエッセイが、センター試験に出題されたことがあった。ネット上では「並みの書き手ではない」と褒める人がいる一方で、「感情の赴くままに書かれている」、「非論理的で主観的」、「こんなもの出題するな」…

今日の一枚(13)

花びらがみな心をあわせて風のなかの幾歩かの目にみえないかぐわしいあしぶみを踏む(リルケ詩集『薔薇』より。山崎栄治訳)

入試シーズンに思うこと(2)

前回の記事で「文学テクストの意味は読み手の自由な解釈によって生み出されるものだ」とか「テクストの意味は読者の数だけある」などといった文学観が、文学についての偏見や悪しき先入観を生んだと書いた。このことについてもう少し書いてみたい気がするけ…

入試シーズンに思うこと

ちょっと前に「東洋経済」の高校国語(古文と漢文)についての記事を読み、それについて少し書いてみようと思っていた。 折しも入試シーズンで、関連したいくつかの記事を読むうちに、俄然、大学受験についてブログ記事に書いてみたくなった。 僕は以前、受…

今日の一枚(12)

寒風吹きすさぶ海岸の次は、穏やかな山巓へ。安倍川の支流・藁科川流域のダイラボウというところです。標高は561メートル。眼下に藁科川と第二東名、その向こうに静岡の市街地が見えます。少し下ったところから大井川方面を遠望

今後の仕事について

少し以前のことになるが、これまでに書いた記事の中から、比較的ちゃんと書けているものを選んで、電子出版(KDPと楽天Kobo)で出した(下記リンク参照)。 『比喩とリアリティー』は文学関連の記事、『空へ向かって開かれた庭』は美術関連の記事、そして『…

遠山の雪を集めて大河口

元旦は大井川の河口を散歩しました。自宅を出るときは穏やかな天気でしたが、海まで来てみると風が凄まじく、手に持っていたスマホが吹き飛ばされるのではないかと思ったほどでした。本年もよろしくお願いいたします。大井川の河口。砂州が伸びて小河口とな…

街の道筋

父が亡くなり、その片付けに実家へ戻ってきた。片付けと言っても、さしあたっては僕自身の荷物を運び出す作業である。電車で横浜の実家に近づくにつれ、気が重くなってきた。 これにはいろいろ理由があるが、一つにはこの家が、僕の十代二十代と分かちがたく…

今日の一枚(11)

珍しいトンボを見かけました。たぶん新種だと思います(思いません😁 )

今日の一枚(10)

別の湖ではありません😉

イタリアへ行きたしと思へども

十二月に入り、今年度も残すところわずかとなった。今年は身の回りに厄介なことが次々と起こって、慌ただしい一年となった。 僕のような、普段はのほほんと生きてる人間も、こういう折にはいろいろと試される。自分自身の欠点や限界もはっきり自覚できた。自…

実家のことなど

ちょっと前になるが、父が亡くなった。葬儀などでこのところずっと忙しかった。去年の夏にワクチンを打ってから体調をおかしくし、二回目の接種は何とか思いとどまらせたが、その後も徐々に弱ってゆき、ついに人生の幕を閉じてしまった。 むろんこれが本当に…

今日の一枚(9)

久々にこの猫に会いたいなあ

今日の一枚(8)

悪い子も渡らないでください 😜

魚たちがやって来た

気がついたら、ブログの更新をだいぶサボってしまっていた。自分の中で期限なりルールなりを決めておかないと、ずるずると先延ばしになってしまう。気を取り直して一ヶ月ぶりのブログ更新。今回はお魚の話です。 ちょっと前にスクーターバイクが水没した話を…

比喩とリアリティー

文学における比喩は、あるものと別のものとの思いもかけぬ共通点を示すことで、対象の新しい側面を前景化してみせる。とりわけ詩の比喩は、異質なイメージどうしをぶつけて常凡の言語使用に亀裂を入れ、表現の新しい領域を切り拓いたりする。しかしここで採…

バイクが水に沈んだこと

昨日は台風が静岡を直撃した。風は大したことないという予報だったので油断していたら、近くの川が一挙に増水し、道路がたちまち冠水した。駐車場にとめてあったスクーターバイクが水に沈み、廃車になった。 僕の住んでいるところは、近くに川があるので用心…

今日の一枚(7)

良い子は渡らないでください😅

今日の一枚(6)

安倍川源流域の大谷崩(おおやくずれ)。1707年の宝永地震でできたそうです。この日はガスがかかっていて岩肌はよく見えませんでしたが、それでも見たいのが人情というものなのでしょうか😋

『おしん』と偶然

テレビドラマの『おしん』について、もう一つ書こうと思いつつ先延ばしになっていたものがありました。今回はその記事です。 ※ 小説に比べると戯曲では、「偶然」が極めて多用される。街角でたまたま仇敵と出くわすとか、恋人のことを思っているとそのタイミ…

石津浜で遊んだこと

先週の月曜日、最後まで残っていた前期の追試が終わった。成績をつけて教務へ提出、これで夏休み前の仕事は全て完了。追試が終わるとその足で用宗海岸へ行き、海を眺めながら缶ビールを空けた。学期中にも何回か、こうやって仕事後にくつろいだものだが、八…

プロフ写真を

久々にプロフ写真を変えました。光の加減で実際より若く写ったのが気に入り 、GoogleのClassroom(遠隔授業用)などでも使っているモノです😜

今日の一枚(4)(5)

建設中の新しい橋じゃなくて古い橋の残骸です😉 川に面した鳥居じゃなくて古い橋の残骸です😉

老けメイク

以前の記事に続き、テレビドラマの『おしん』について、もう少し書いてみようと思います。 ※ 老けメイクとは大河ドラマなどでお馴染みの技術で、登場人物を生涯にわたって、一人の役者が演じるときに用いるメイク技術である。たとえば二十歳から七十歳までの…

今日の一枚(3)

暑そうなのでビールをついでやったなんてことはしていません😸

今日の一枚(2)

モンキーキャット君、再び

作中人物の同一性(『おしん』と『道成寺』)

NHK のテレビドラマ『おしん』を見た。全編を通して見たのはこれが初めてである。あまりにも有名な作品だが、一応あらすじを紹介しておくと、貧しい小作農の家に生まれたおしんが、戦前から戦後にかけての激動の時代を、挫折を繰り返しながらたくましく生き…