断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

批評

『おしん』と偶然

テレビドラマの『おしん』について、もう一つ書こうと思いつつ先延ばしになっていたものがありました。今回はその記事です。 ※ 小説に比べると戯曲では、「偶然」が極めて多用される。街角でたまたま仇敵と出くわすとか、恋人のことを思っているとそのタイミ…

老けメイク

以前の記事に続き、テレビドラマの『おしん』について、もう少し書いてみようと思います。 ※ 老けメイクとは大河ドラマなどでお馴染みの技術で、登場人物を生涯にわたって、一人の役者が演じるときに用いるメイク技術である。たとえば二十歳から七十歳までの…

作中人物の同一性(『おしん』と『道成寺』)

NHK のテレビドラマ『おしん』を見た。全編を通して見たのはこれが初めてである。あまりにも有名な作品だが、一応あらすじを紹介しておくと、貧しい小作農の家に生まれたおしんが、戦前から戦後にかけての激動の時代を、挫折を繰り返しながらたくましく生き…

夢ーその象徴と表現

他人の見た夢を聞かされるというのは総じて退屈なことだが、論の前提として今しばらく付き合っていただきたい。 去年の夏の終わり頃、高校の同窓会があって久々に母校へ行ってきた。学校は山の上を切り開いて造成したところにあり、駅からの通学路は緑濃い谷…