断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

中島義道氏の『醜い日本の私』(日本の景観 その3)

先日、中島義道氏の『醜い日本の私』という本を読み返す機会があった。これはじつに痛快な本で、日本の景観の醜さ、汚さ、いかがわしさを、これでもかとばかり書き立てている。(じつは今回、「日本の景観」というテーマでブログ記事を書き始めたのは、この…

住めば都(日本の景観 その2)

私が「日本を訪れる外国人の目」などというものを持ち出すのは、第一には私の虚栄心によるのだが、もちろん理由はそれだけではない。景観というものは、その性質上、よそからやって来た人間が一番よく見えるのである。裏を返せば、日本に長く暮らしていると…

恥ずかしい日本の私、恥ずかしい私の日本(日本の景観 その1)

最近はドイツのメディアでも中国のことがよくとり上げられる。何年か前のドイツの雑誌『シュピーゲル』の特集記事に、「ライバル―中国対ドイツ:世界市場をめぐる戦い」というものがあった。記事の内容自体はとりたてて目新しいものではなかったが、興味深か…

「邪悪」をめぐる考察

かれこれ十年以上も前、私がまだ学生だったころのことである。近所のコンビニでたまたま目にした「信長の野望」のゲームソフトを買った。家に帰り、さっそくパソコンで開いて遊び始めると、これが面白くてやめられず、気がついたら十数時間経過していた。ま…

吉田秀和氏を悼む

吉田秀和氏が亡くなった。享年九十八歳。天寿を全うしたというべきなのだろうが、やはり寂しい。5月22日に亡くなった後、一週間ほど間を置いて新聞で知ったのだが、その直前の日曜日に、氏の担当する「私の視聴室」を聴いたばかりだった。たまたま途中か…