断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

音楽

リイダア・オン・レコオド

七月の間は例年になく長い梅雨が続いたが、八月になると一転して夏らしい天気になった。最近の数日は猛暑続きで、日中は35度を超える天気が続いてる。浜松のほうでは40度を超えた。夏は好きだが、さすがにこれでは外へ出る気にならない。 仕方ないので昼は部…

ディーマ・スロボデニュークのモーツァルト交響曲第39番

猫の記事が書きかけのままなのだが、今日はちょっと別の話題を一つ。YouTubeで見つけたモーツァルトの交響曲第39番。ディーマ・スロボデニューク指揮、ガリシア交響楽団の演奏である。 https://www.youtube.com/watch?v=wiN7PYujia4 私はモーツァルトのこの…

モーツァルトの初・中期交響曲

ここでモーツァルトの初・中期交響曲と呼んだのは、ウィーン時代より前に作曲された三十数曲であり、作曲年代からいうと8歳から24歳までわたるものである。この中には、小ト短調シンフォニーとして知られる有名な25番(K.183)や演奏されることの多い29番(K…

モーツァルト 十番台のピアノ協奏曲

前回の記事で、モーツァルトのピアノ協奏曲のことを書いた。その際、二十番台のピアノ協奏曲は晩年の円熟した作品で、十番台はそこへいたる発展途上の作であるかのような書き方をしてしまった。これは全くの間違いではないが、誤解を招きやすい表現である。…

ベズイデンホウトのモーツァルト

少し前のことになるが、片山杜秀氏の「クラシックの迷宮」という番組(NHKFM)で、ベズイデンホウトのフォルテピアノによるモーツァルトのピアノ協奏曲第17番(第三楽章)が紹介されていた。これが実に素晴らしい演奏で、ラジオに向かって思わず拍手喝采した…

映画『アマデウス』

オスカー・ワイルドをめぐるジードの回想録に、こんな話が出てくる。 ワイルドは当時、イギリスではご法度だった男色を実行していた。その筋の若者を集めてクラブを結成し、指輪を交換して結婚式を挙げ、しかもそのことを方々に吹聴して回っていた。 ジード…

吉田秀和氏を悼む

吉田秀和氏が亡くなった。享年九十八歳。天寿を全うしたというべきなのだろうが、やはり寂しい。5月22日に亡くなった後、一週間ほど間を置いて新聞で知ったのだが、その直前の日曜日に、氏の担当する「私の視聴室」を聴いたばかりだった。たまたま途中か…

シューベルトとドヴォルザーク

ともに音楽史上、屈指のメロディー・メーカー。しかしそれとは別の意味で、私は二人にある共通点を感じるのである。 シューベルトは古典派からロマン派への移行期に位置する音楽家で、厳密にはロマン主義の作曲家とは呼べないかもしれない。しかしその音楽は…

クラシック音楽とは何か?

十代のころ、私はモーツァルトの音楽ばかり聴いて過ごしていた。明けても暮れてもモーツァルト、他には趣味らしい趣味もない日々だった。教養をつけようとか、そんな聴き方ではなく、純粋な楽しみからそうしていたのだが、こんな偏頗なことをしていれば他の…

シューマンの「春」

シューマンの交響曲第一番「春」のような曲を聴くと、シューマンは、ベートーヴェンを体で知っていた、おそらく最後の世代であるような気がしてくる。シューマンの中ではベートーヴェンは、まだ生の形で生きている。むろん音楽語法とは別次元の、無意識的な…

スティーヴン・スターリクのモーツァルト

スティーヴン・スターリクによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番をラジオで聴いた。 スターリクのヴァイオリンの屈託のない音の響き、帆船が風をいっぱいにはらむようなのびやかで堂々たる弾きっぷりは、私には「モーツァルトをいかに弾くか」という問…