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ティーヴン・スターリクによる
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番をラジオで聴いた。
スターリクのヴァイオリンの屈託のない音の響き、帆船が風をいっぱいにはらむようなのびやかで堂々たる弾きっぷりは、私には「
モーツァルトをいかに弾くか」という問いへの一つの答えであるように思われた。
モーツァルト、とりわけ彼の若いころの曲を弾くには、何をおいてもまず音を響かせるべきなのだ。素直に屈託なくそれを行うべきなのだ。意図して曲を「表現」するのではなく、曲そのものに歌わせるということ。
いうまでもなく音を響かせるというのは、音をかき鳴らすというのとは全然別のことである。