断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

2020-01-01から1年間の記事一覧

年の瀬の早梅

去年はびっくりするような暖冬で、なんとクリスマスの時期に早梅が咲いていた。今年は去年とは打って変わって冬らしい日が続いているが、二日前、去年と同じ樹が開花しているのを見た。咲いているのはこの株だけだったが、それにしてもこの時期に開花とはび…

意見について

ブログの更新をサボっているうちにあっという間に一ヶ月経ってしまった。もはや十二月も半ばを過ぎた。寒さもいよいよ本格化して冬本番である。 それにしても今年は大変な一年だった。新型コロナに関連して、ネットもよく見るようになった。昨日は、北里大学…

立冬の句

すでに退会してしまった「りいの」という俳句の会は、元々は「アカンサス句会」という名称であった。当時はまだ句誌も存在せず、檜山先生を中心に少人数の仲間が集まって、気軽に俳句を楽しんでいるといった風であった。 俳句には吟行というものがある。みん…

カモシカ、彼岸花、そして崖崩れ

前回の記事でカモシカに遭遇したことを書いたが、その後、立て続けにカモシカに出会った。全部で5匹である。カモシカというと、険しい山の崖を自由自在に飛び回ってるというイメージがあるが、私が見たのは、茂みの中だったり、林道に佇んでいたりと、いろん…

三匹の猫

自転車で走っていたら、ちょっと離れた道の上に猫が座っているのが見えた。速度を落として用心しながら近づいて行くと、何のことはない、道の上に置き捨てた白い紙袋であった。 またある晩、仕事後にビールを飲み、酔い覚ましに外へ散歩に出た。建物の敷地か…

二百十日、そして二十日

安倍政権がやっと終わろうとしている。前代未聞の恥ずべき政治光景が七年半、白昼堂々くり広げられててきたが。辞任表明後の世論調査では支持率が6割、「良い政権だった」とする意見が7割であった。私は自分の住んでいるこの日本という国が、どうもよく分…

リイダア・オン・レコオド

七月の間は例年になく長い梅雨が続いたが、八月になると一転して夏らしい天気になった。最近の数日は猛暑続きで、日中は35度を超える天気が続いてる。浜松のほうでは40度を超えた。夏は好きだが、さすがにこれでは外へ出る気にならない。 仕方ないので昼は部…

夏休み間近

前期の授業もようやくゴールが見えてきた。遠隔授業の準備や対応に明け暮れたセメスターだった。例年だと授業修了後すぐに信州あたりへ行って3、4日過ごすのだが、今年はさすがに行く予定はない。ただでさえ信州は電車では行きづらい。一番早いのは富士か…

近況さまざま(3)

新型コロナの影響で、前期の授業が始まったのは五月の半ば近くだった。いつもの年に比べて一か月遅れである。それまで自宅にいて何もしていなかったのかというと、無論そんなわけではなく、オンライン授業の実施に向けて準備が山積していた。授業が始まって…

近況さまざま(2)

二月の初旬のことだが、盛りの梅の花を見に、浜松のフルーツパークへ行ってきた。広い敷地にさまざまな果樹を植えていて、その一角に観賞用の梅園と、実を取ることを目的とした梅園とがある。観賞用の梅園はさまざまな品種を集めていて、香りをかぎ比べて歩…

近況さまざま(1)

新型コロナで世の中が大変なことになってしまった。生活風景は三か月前とは180度様変わりしてしている。私自身をとっても、大学は全面的にオンライン授業へ移行し、今はその準備に明け暮れている。大好きな旅行にも行っていない。温泉もずっとご無沙汰してし…

岡潔と猫

岡潔の話は前回までで一区切りにしようと思っていたが、もう一つ、表題のテーマで記事を書くことにした。ただしここで、猫をめぐる岡潔の秘話やエピソードを開陳するわけではない。彼自身がエッセイ(「こころ」、角川文庫『風蘭』所収)に書いている内容の…

諸想、群がり起って

新しい記事を書こうと思いつつ、だいぶ間が空いてしまった。今日は冷たい雨が降ったりしたが、昨日は良い天気だった。気温もゆうに二十度を超え、半袖で歩き回れる日和だった。頬をなでる風はまるで五月のそれで、歩いていてぼんやり酔ったような気分になっ…

広中平祐『生きること 学ぶこと』より

もう一つ、広中平祐氏のエッセイ(集英社文庫『生きること 学ぶこと』)に極めて印象深いエピソードが載っているので紹介したい。氏が岡潔に出会ったのは大学院時代であった。二人の年齢差はちょうど三十歳なので、岡潔が五十代半ば頃のことであろう。奈良女…

岡潔「私の受けた道義教育」より

もう一つ、「私の受けた道義教育」(光文社文庫『春宵十話』所収)からの引用。 ところで、私自身どんな道義教育を受けたかふりかえってみよう。私が初めて道義教育を受けたのは数え年五つの時だった。これは祖父から受けたもので、一口にいえば「ひとを先に…

岡潔「春宵十話」より

岡潔の「春宵十話」(光文社文庫『春宵十話』所収)からの引用である。 人は動物だが、単なる動物ではなく、渋柿の台木に甘柿の芽をつぎ木したものといえる。それを、芽なら何でもよい、早く育ちさえすればよいと思って育てているのがいまの教育ではあるまい…

岡潔のエッセイ

二月も残すところ数日となった。この連休は雨のち晴れで、気温もだいぶ高くなった。梅の散るのが早いのは残念だが、春が身近に迫っている。いつもなら心楽しい季節だけれど、今年はそれどころではなくなってしまった。新型コロナウイルスの問題である。 実を…

猫に会った話(5)

ちょっと間が空いてしまったけれど、前々回の記事の続きである。 ずっと鳴かなかったその猫が、ひとたび鳴いたことで一気に私との距離が縮まったかというと、そうでもなかった。もう一匹が私にべったりの状態なので、何となく遠慮して近づかないでいる感じだ…

家山梅園探梅記

今年度の授業が全て終了した。成績もつけ終わってほっと一息である。 芸大の最終週には、ドイツ語の先生方と連れ立って根津にあるカフェへ行ってきた。奥まったところにある小さな店で、車の音も聞こえない。昭和の初期に作られたと思われる古い建物はお洒落…

猫に会った話(4)

ちょっと間があいてしまったが、前々回の記事の続きである。 ずっと鳴かなかった猫が、ある出来事をきっかけに初めて鳴いたというところまで書いた。その猫はすでに避妊手術をしてあった。たぶん誰かが、家で飼えなくなったのを捨てていったのだろう。あるい…

謹賀新年

謹賀新年。本年もよろしくお願い申し上げます。 毎年元旦はどこかへ出かけることにしているのですが、初詣に行く習慣はないので、今年も温泉へ行ってきました。場所は去年と同じ「用宗みなと温泉」です。用宗は漁港で有名な町で、静岡から電車で二駅、わずか…