断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

二百十日、そして二十日

 安倍政権がやっと終わろうとしている。前代未聞の恥ずべき政治光景が七年半、白昼堂々くり広げられててきたが。辞任表明後の世論調査では支持率が6割、「良い政権だった」とする意見が7割であった。私は自分の住んでいるこの日本という国が、どうもよく分からなくなってきた。
 最近はネットで新型コロナのことを調べているが、長期にわたる後遺症に苦しんでいる人が多数いるようで、マスメディアも少しずつとり上げ始めている。
 どうもこの後遺症については、よく知らない人が多いという印象を受ける。風邪やインフルエンザの後遺症と似たものを想像してしまう人もいるし、後遺症というからには人工呼吸器をつけたような重症者にだけ残ると思っている人もいる。若者とは無縁と考えている人も多い。
 しかし実際には、子供から高齢者まで幅広い年齢で発症しており、重症者だけでなく、軽症者にも起こる(数としてはむしろこちらの方が圧倒的に多い)。中には軽い風邪症状だった小児が、治って数か月後に後遺症を発症したというケースも読んだ。要するに若者だろうが、無症状に近い軽症だろうが、後遺症にかかる可能性はあるのだ。
 おそらく後遺症という名称がいけないのであろう。たしかに文字通りの後遺症(たとえば重い肺炎で肺が不可逆的な損傷を負うというようなケース)もあるが、むしろ慢性化というべきものも多く、症状的にもかなり深刻である。私は以前、インフルエンザの後遺症で一ヶ月くらい苦しんだことがあるが、はっきり言ってコロナの後遺症はとてもそんなレベルではない。重いものになると、普通の社会生活を送れないほどの症状が何か月も続き、いつ直るのかの見通しさえつかない。のみならず急性期にPCR検査を拒否された人(おそらくこれが大半であろう)は、そもそもコロナの後遺症と認定すらされず、医者に行っても「心因性」の分類で片付けられることが多いらしい。
 スウェーデンでは調査で15万人の後遺症者が判明したという。この国の陽性者数は累計で8万超だから、PCR陰性のまま後遺症が出てしまうケースが多いのだろう。日本の陽性者数はスウェーデンよりやや少ない7万人、人口は10倍である。加えて日本は検査のハードルが異常に高いから、水面下で大変な事態になっているかもしれない。近い将来、大きな社会問題となる可能性もある。この先どうなるか分からないが、国が隠蔽するようなことだけはあってほしくない。
 それにしてもこの病気についての「情報」は、この半年でどれほど目まぐるしく変化したことだろう。はじめは老人と持病のある人だけが危険といわれ、ついで40代50代も危ないと言われ、とうとう若者も子供も安全とはいえなくなった。重症化しなければ大丈夫という意見も、別の意味で深刻な慢性症状の存在によって、否定されつつある。その一方でいわゆる「弱毒化」という現象も起こっており、秋以降どのような経緯をたどるのか、全く見通しがつかない。
 けっきょく新型コロナ対策ですべきなのは、そのときどきの情報に振り回されないこと、個人として可能なかぎり用心すること、そして罹ったら初期段階で有効な治療をすることらしい。発症後5日間が勝負だという記事も読んだ。しかし今の日本ではそうしたオプションはほとんど存在しないから、私はイベルメクチンなどの薬を個人輸入した。効き目は未知数だが、副作用の心配はないらしいから、万が一のときは使ってみるつもりである。