断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

8月12日(ヴェンゲン~グリンデルヴァルト)

 夏のヨーロッパ旅行の記事は、元々備忘録を兼ねてはじめたもので、九月中には書き上げるつもりだったが、予想以上に長引いてしまっている。スイスを去ってドイツのフライブルクへ行くまであと二日。今回は多少駆け足でメモ風に済ませよう。
 午前8時にヴェンゲンのホテルを出発。ラウターブルネンへ戻り、駅からバスでトゥリュンメルバッハ滝へ。滝は何段もあり、洞窟のような狭い岩場を、凄まじい轟音を立てて川が流れおちている。
 再びラウターブルネンへ戻り、ワインとおつまみを購入してロープウェイでグリュッチアルプ駅へ。ここからミュレンへの鉄道が接続しているが、それには乗らずにハイキングコースへ。ワインを飲みながら散策。途中から列車に乗ってミュレンへ。ケーブルカーで展望台のある山頂駅へ登った。素晴らしい眺望に見入りながらワインを飲んでいると、次第に酔いが回ってきた。しばらく日差しを浴びながらお昼寝タイム。
 ぐっすり眠ってから、再びケーブルカーでミュレンの街へ。街を散策して暑くなったので、途中の店でビールを買った。
 ラウターブルネン経由で再びヴェンゲンの街へ。ホテルに預けていた荷物を受け取るためだが、すぐには受け取らずにヴェンゲンの街を散策。この街はいかにもツーリスト向けにできていて、あまり好感を感じなかったが、街の外れまで行くと牧歌的な風景が残っていた。
 ホテルで荷物を受け取り、クライネシャイデック経由でグリンデルヴァルトへ。クライネシャイデックではユングフラウヨッホから下りて来た中国人団体客用の列車に出くわした。ものすごい数の観光客を乗せた列車が通り過ぎ、やれやれと思っていると、何ともう一台、別の団体列車が下りてきた。呆気にとられたまま通り過ぎるのを見ていると、向かいに座っていた客がWahnsinn!(何あれ?)と呆れたようにつぶやいた。たしかに醜悪な光景だが、しかし私たちだって同じ目的で訪れている観光客ではないか。そもそも山をくりぬいて山頂まで鉄道を通し、そこに巨大な人工施設を造るということ自体、人間の醜悪な欲望の発露以外の何ものでもないと思うのだが。
 グリンデルヴァルトに到着。ここはヴェンゲンやミュレンとは全く雰囲気が異なるが、麓の街インターラーケンよりもあっけらかんとして開けている感じである。この日は適当なホテルが取れなかったのでホステルの相部屋に泊まったが、書き物机もロッカーもなく、さすがにしんどかった。外へ出て山の景色を眺めながら夕食。夜は何もせずさっさと就寝した。


(ヴェンゲンの街外れからの眺め)