断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

謹賀新年

 ここへ来て急に寒さが本格化した。以前の記事で書いたベランダの朝顔もついに枯れて硬くなってしまった。
 先週の半ば頃、この冬一番という寒さがやってきた。この地の冬は、風は吹くけれど温暖で、ここに住むようになってから一度も雪が積もるようなことはなかった。風が強いのは遠州の空っ風が牧之原台地を越えて吹き下ろしてくるからで、冬の間はそういう日が多い。しかし年に一回か二回、猛烈な冬型になったときには風花が舞う。空は晴れているのに、季節風に乗ってきた雪が、歌舞伎で使う紙の雪のようにはらはらと舞うのである。それが先週にやってきた。舞うのはたいていほんの一時か、長くてせいぜい数時間だが、この日は朝から夕方近くまでずっと続いた。気温も2度とか3度とかで、昼の間は家を出るのも億劫だった。夜になってようやく食事をとりに外へ出た。風花はすでに止んでおり、外の空気は昼よりもむしろ暖かく感じるくらいだった。
 寒さはその日を境に一段落ついた。ここ数日は過ごしやすい日が続いている。昨日は昼過ぎにパラっと時雨れたが、自転車に乗っていても平気なくらいであった。川沿いの畑地はしっとりと湿り、生き生きと蘇ったようだった。木々の梢を小鳥たちが、まるで春先のような敏捷さで飛び交っていた。梅のつぼみも大分大きくなっていた。
 考えてみればもうすぐ梅の季節である。毎年、梅の季節が来ると、また一年生きたんだなと思う。そして去年の今時分が、ずいぶん昔のことのような気がする。
 元旦の今日は、朝から晴れて気持ちの良い日だった。昼から少し風が出てきたが、寒いというほどではなかった。年明けの授業は9日からである。その頃には早梅がちらほら咲き始めていることだろう。
 そんなわけで謹賀新年。今年もよろしくお願い申し上げます。