断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

夏休み終了間近

 二か月足らずあった夏休みもあっという間に過ぎた。来週からまた新学期が始まる。この夏は信州白馬へ旅行したりもしたが、体調を崩して寝込むということもあって、いつになく慌ただしかった気がする。
 寝込んでいる最中、今までに訪れた温泉地を頭の中で数えてみた。全部で百箇所ちょっと。温泉大国日本には、全部で二万箇所(!)の温泉があるというから、その1パーセントにも満たない。それでも思い出深い温泉がいくつも頭に浮かび、なつかしい気持ちになった。最近訪れた湯で印象深かったのは、白馬を訪れたおりに足を延ばした小谷温泉である。山奥の秘湯で、露天風呂からの眺望がすばらしかった。
 そうこうしている内にさくらももこさんが亡くなるというニュースが耳に入った。ショックだった。彼女の生家は静岡の清水だが、そこは私の勤めている東海大学のある場所である。街では漫画のキャラを日常的に目にしていたし、何よりも53歳という若さである。人間はいつ何時、どんなことに巻き込まれないとも限らない。病気だけでなく事故や災害などの可能性だってある。私たちはふだん、人生の残り時間などまだまだたっぷりあると思って暮らしている。これがどれほど呑気な錯覚であるか、頭では分かっているけれど、なかなか改められない。第一、そんな切羽詰まった生き方は、日常レベルでは継続できない。が、それでも最低限、頭の片隅にでも意識しておかねばならないのだろう。人生において何を優先すべきかということは、いずれにしても避けて通れない問題である。
 さて、ここまで書いてきたことと大いに矛盾してしまうようだが、明日は久々に温泉へ出かけてのんびりしてくる予定である。


信州白馬にて