断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

早梅のお正月

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

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 大晦日の晩は蕎麦ならぬパスタで年越しをし、明くる元旦は午前中はケーキを食べながら読書、午後からは「用宗みなと温泉」という日帰り温泉へ出かけてきた。ここは昨年末の12月22日に新しく開業した施設である。
 露天風呂の一角に「富士見小屋」というものが設けてあった。木造りの小さな小屋に、お城の「狭間」のような細長い小窓があって、そこから目の前に広がる用宗漁港と富士を眺めるという趣向である。お湯自体は加熱循環していたが、浴槽の端に源泉がちょっとだけ流されて「ご披露目」されていた。
 湯上りに食堂でビールを頼み、吹きさらしのテラスへ出て飲み始めた。パラソルヒーターがついていたが、さすがに風が冷たく、早々に室内へ退避してしまった。
 翌一月二日は本を抱えて喫茶店へ。その途中で近所の瀬戸川へ立ち寄った。ここは土手の上に数十本の梅が植えてあり、花期には素晴らしい香りが立ち籠める。十二月が暖かったせいか、もうつぼみがかなり膨らんでいた。今年は梅の季節も早いのかなと思いつつ見てゆくと、一本、すでに花をつけている樹があった。まさか正月に梅の花を見ることができるとは思わなかった。何となく幸先のよい気分である。枝を手に取り、香りを存分に吸った。一年ぶりの梅の香だった。
 平成最後となる年末年始。改元までも残すところ半年足らずである。色んなことのあった三十年間だったが、新しい時代が良い方向へ進むことを願いつつ。


お正月の早梅


元旦の用宗海岸


昭和の香りが残る用宗は、町のいたるところ、いつだって猫と会うことができる(=^‥^=)