断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

御前崎再訪

 明日で夏休みも終了。月曜日からはまた授業が始まる。そんなわけで昨日は御前崎へ行ってきた。
 大井川を渡って静波海岸を過ぎ、国道150号をぐんぐん南下していくと、日差しが目に見えて濃くなってきた。牧之原台地の深い緑の上に、真っ白な夏雲がかかっている。湿った海風が体中に吹きつけてくる。まるで季節が逆戻りしていくような感覚だ。相良海岸を過ぎて少し走ったあたりで、国道と別れて海沿いの道をさらに南下した。
 御前崎港へ近づくとヤシの木を植えた広い通りが続く。そこを過ぎて道が大きく西へ曲がると、御前崎の大きな海岸が見えてきた。灯台下まで来て、「静岡県最南端」の看板を写真に収めた。そこからさらに西へ走り、ちょっと行ったところで自転車を止めた。
 岬の高台へ登る遊歩道を上っていくと、どんどん視界が広がる。まるで北海道の原野のような広大な景観だ。御前崎静岡県最南端とのことだが、僕の中ではなんとなく、伊豆半島石廊崎の方が南のような気がしていた。しかし地図で見ると確かに御前崎が南である。とはいえそんなに違いがあるわけではなく、ほぼ同緯度である。緯度の比較で言うと、静岡駅が伊東駅、焼津や藤枝駅城ヶ崎海岸駅とだいたい同じ緯度である。そういえば国道150号線を南に下っていくときの、日差しがぐんぐん濃くなっていく感覚が、伊豆の東海岸を鉄道で南下して行く時の感覚とよく似ていた。
 遊歩道を降りて灯台下の駐車場へ戻り、灯台まで登った。平日で灯台は閉まっていたけれど、おかげで観光客は少なかった。広場の片隅のベンチに腰掛け、ジュースを飲んだ。ここへ来るのは三回目。昔のことを思ってちょっと感慨にふけった。たぶん次に来るときは、また別の種類の感慨に浸るのであろう。



相良海岸の付近でちょっと脇道に入った。



御前崎雄大な海岸風景









波打ち際にも降り立った。



ちょっと登ったところにある灯台。以前は平日にも開いていたような気がする。



水田はすでに実りの季節を迎えている。