断想さまざま

山村浩(哲学・大学非常勤講師・藤枝市在住・宇久村宏=ペンネーム)の日々の断想です。

2012-01-01から1年間の記事一覧

ボンクラーズと米長邦雄(3)

……ここまで私は、将棋というゲームの「新しさ」や「創造性」のことを語ってきたが、じつはこれは、文学や芸術の問題を論じるための下準備だったのである。「新しさ」や「創造性」の問題は、近代以降の文学者や芸術家の主要な関心事で、場合によってはほとん…

ボンクラーズと米長邦雄(2)

さて、ボンクラーズと米長氏の対戦の後、ある新聞のコラムにこんな内容の記事があった。「たしかにコンピューターは強かった。だが、観ている人間を感動させるような手は一手もなかったではないか。」ここで「感動させる」を「創造的な」という語で言い換え…

ボンクラーズと米長邦雄(1)

ちょっと前になるが、将棋の米長邦雄永世棋聖が、コンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」と戦って負けた。すでにチェスでは、世界チャンピオンがコンピューターに敗れている。今回の対戦は、現役のプロ棋士との本格的対戦を前にした「前哨戦」ともいうべ…

私の俳句体験

とある俳句の会に入って何年かになる。敷居が高いような気がして最近は足が遠のいているが、以前に何回か句会というものに参加した。貸切の部屋にみんなで集まり、その場で句を作ってゆくのである。 句会に先立って吟行というものをやる。たとえば都内なら、…

春が来た(2)

それはそうとしてここ(静岡)は明らかに東京より三、四度気温が高く、そのぶん春の訪れも早い。地図で見ると伊豆半島の東海岸と同じくらいの緯度だから、東京より暖かいのは当たり前なのだが、実際に住んでみると、緯度以上に、ずいぶん南に来たなという印…

春が来た

「春が来た」。ただし私の人生のことではない。はじめて春の気配を感じた日があったということである。その日(一月八日)、午まえに起きて外に出ると、空一面にのどかな春めいた気配が浮かんでいた。前日あたりまでの厳しい冷えこみもやわらぎ、なんだか薄…

再びナンバープレートの話

しつこいようだが、車のナンバープレートの話をもう一つ。 あるクラスのことだが、授業後にみんなで(といっても、学生数わずか二名のクラスだったのだが)食事に行こうという話になった。この大学の学生は大半がキャンパスのそばに下宿しているから、普通は…

犬はお友達

新年明けましておめでとうございます。昨年は大変な一年で、今年も巷間、巨大余震の危険がささやかれていたりしますが、なんとか平穏無事な一年になってほしいものです。 さて今年はイヌ年ではありませんが、新年の最初は「イヌ」の話題で行こうと思います。…